ドリアン・ロロブリジーダ「普通なんて存在しない。選択を積み重ねた先で知ること」

ドリアン・ロロブリジーダ「普通なんて存在しない。選択を積み重ねた先で知ること」

自分を愛するのは難しい。でも、自分自身の内なる価値に気づけていないだけだとしたら?ひとりひとりがスペシャルな存在。
VERMILLIONのコンセプトである”IDENTIFY JEWELRY”を体現する、自分を表現して生きる人へのインタビュー。

ドラァグクイーンとしてデビューした2006年以降、数々のクラブイベントやコンサート、ファッションショー、映画、歌手やラジオ番組のパーソナリティなど多岐にわたって活躍をするドリアン・ロロブリジーダさん。リアルなステージを大事にし、観客を笑顔にするパフォーマンスを繰り広げています。

誰かが決めた常識やいつの間にか刷り込まれている固定観念。それらを揺るがせ、吹き飛ばすような活動の根底にある考え方とは。ドリアンさんの話を通して、自分との向き合い方、他者との心地よい関係の築き方について探ります。


楽しいからこそ続けてこられた大好きなパフォーマンスで、一人でも多くの人を笑わせていく

ードラァグクイーンになられたきっかけを教えてください。

初めて人前でお化粧をして、いわゆる女性の格好をしたのは高校3年生です。当時近所に住むゲイのお姉さん方7〜8人くらいと仲良くさせてもらっていて、よくファミレスでご飯を食べたりおしゃべりしていました。

ある年末に、そのグループで「私たちでFNS歌謡祭をやろう」という話が出たんです。といってもカラオケのパーティールームを借りて、みんなで女装して歌を歌うだけなんですけれども。そこで私は初めてカツラを被り、お化粧とも言えないようなメイクをしました。

そのグループの中に一人だけ、過去にドラァグクイーンをやっていた方がいて。その方がドラァグメイクでバーンと登場したんです。

その時、こんなにかっこいいものがあるのかと、雷に打たれたような衝撃が走りました。そこからその方にメイクを教わったり、試行錯誤しながら化粧をし出したのが始まりです。2006年の冬に、新宿二丁目のクラブで「若手女装グランプリ」が開催されました。それは有象無象の若手、新人の女装やドラァグクイーンを集め、それを大御所のドラァグクイーンさんが審査するイベント。

先にデビューした友人に声をかけてもらい「じゃあ出てみようかしら」と思い、ドリアン・ロロブリジーダという名前を決めて出場しました。そうしたら、なんと優勝して。そこからお仕事をいただけるようになり、今に至ります。




ー高校3年生で女装に出会い、その後16〜17年間続けてきたドラァグクイーンの魅力はなんだと思いますか。

女装やドラァグクイーンは、私にとって本当に楽しいことなんです。だからやっているし、続けられているのだと思います。

最初は大学生をしながら、その後は社会人をしながら。何かと並行しながらも、女装はずっと続けてきました。ベースにあるのは、女装が好きという気持ちです。

楽しく感じる点は年々少しずつ変わってきています。

最初は、人前で女装をして「わあ綺麗」って言ってもらえるのが嬉しい、楽しいと感じていました。でもそういう喜びにはだんだんと慣れてきちゃうんです。

今は、パフォーマーとして観てくれる方をどう楽しませるのかを考え、追求することに面白さを感じています。魅力に感じる点も徐々に変化していますね。


ーパフォーマンスに込めている想いを教えていただけますか。

大層な想いではありませんが、常に思っていることは、自分の目の前にいるお客さまを一人でも多く笑わせること、笑顔にすること。これはずっと強く思いながら活動しています。




ーThe Show Must Go On(
ショウ・マスト・ゴー・オン)を信条にされていると伺いました。

「The Show Must Go On」は私の人生のモットーです。人生は長いステージだと思っていて、どんなにしんどくても、へこんでいても必ず幕は上がります。幕が上がったら板に乗らないといけません。ショーを見に来てくださるお客さま、そして自分と関わるすべての人を楽しませたい、喜ばせ続けたいという使命感をもっています。

実はこの言葉は会社員時代に退職する同僚の寄せ書きに書いていたこともあるくらい大事な言葉なんです。火打ち石をカンカンと打ち鳴らして、江戸っ子がいってらっしゃいよって勢いよく言うように、エールを送っていたんだと思います。

他人が決めた「普通」には振り回されない。自分の心に敏感に、ご機嫌をとって生きていく

ー周囲の考える普通と比較され、生きづらさを感じている人がいます。自分らしく生きていくためにどうしたらいいと思いますか。

まず前提として、普通なんてものはこの世には存在していません。普通や常識は時代やコミュニティによって全く異なるものになります。横串一本でどこでも使える普通なんてものはこの世には存在しないんです。

けれども、人は普通って言葉を使いたがるし、私も使っちゃうことがあります。そして、その言葉に苦しめられてる人や違和感を感じている人はたくさんいますよね。

もし誰かの「普通」を押し付けられて、自分がそこから逸脱していることに悩んでる方がいたら、あなたは劣ってるんじゃなくて、抜きん出ているんだと思ってもらいたい。私も「普通」なんてつまらないと思っているから、ドラァグクイーンをやっているんです。まず自分は卓越している存在なんだとご自身に言い聞かせるのがいいと思います。

そして、自分らしさ。これも罪作りな言葉だと思っています。耳触りがいいので、言葉ばかりが一人歩きしていますが、一体どれだけの人が自分らしさと向き合えているんでしょうか。

自分らしさって、実在のない幻影みたいなものだと思っていて。本当の自分とはどんなものなんだろうと考えると、それはすごく遠くて高いところにあって、迷子になってしまいます。

結局どんな行動だって選択しているのは自分だし、その一つひとつの選択の積み重ねで今がある。本当の自分なんてものは、今の自分の地続きにしかないと思うんです。

だから、まずは自分のアンテナを磨くことから始めればいいんじゃないかなと思います。自分がどういうことをしたら、どういう服を着たら、どういう人といたら、ワクワクルンルン楽しくなるのかを知ること。こういうことをすると私って楽しいんだということをひとつずつ見つけて、選んでいく。

もしくは逆に、嫌だなと思うものを知ることでもいいんです。心の機嫌を素直に聞き、楽しいぞ、ワクワクするぞと思うことを積み上げていく。その先に、きっと本当の自分があると思うんです。




ー前向きなものの考え方、捉え方はどこから生まれてきたのでしょうか。

母の愛、家族の愛だと思ってます。母は物事を深刻に捉えすぎない人。なんやかんやあっても、いつも笑っているような人だったので、その影響なんじゃないかなと思います。あとは調子に乗らせてくれた周りのおかげ。

あまり自分を認められなかった時期がないんです。もちろん失敗も大失敗もたくさんあって、反省することはありますが、でもそれが自分だし、と思います。




ー落ち込んだ時はどうやって自分を励ましていますか。

まずは、寝ますね。夜暗い中モヤモヤした状態で考えても、いい方向に考えは進まないので。一回寝て起きると、まあそんなこともあるよねって思えることが結構多い。悩みの種自体はなくなってないけれど、体力が回復した状態で向かうと攻略の仕方も変わって解決の糸口が見えてくることもあります。それでもダメな時は落ち込んでいる自分もかわいいし、って思いますね。


他者のすべてを理解できるとは思わない。放っておき合うことで作られる器の大きな社会

ー他者を尊重し、多様性を受け入れていくために、大事にしていることはありますか。

理解できないものに出会ったら、放っておくんです。放っておいて、尊重し合うのが多様性だと思っています。

今って、SNS上でも、自分が理解できないことや嫌悪感を覚えることに対して、わざわざその人のアカウントまで行って文句を言う人が多いじゃないですか。俺はお前らのこと嫌いだ、ってわざわざ言いに来なくてもいいですよね。

人には、心や感情があって。どんな感情も、抱くことは自由。人の頭の中までは統制できません。例えば嫌いと思う気持ちを禁止にしてしまうと、それは健全ではないと思います。

けれども、その感情を表に出さないのが品性であり、知性。偏見や差別をする心は、自分も含め誰しもがもっているけれど、それを表に出さないことはとても大事だと思います。

もちろん相手のことについて勉強する、知ろうとすることは大切。けれども、すべてを理解することや賛成することは、また違う話です。夫婦や親子でもお互いを完璧に理解することは無理なんだから、なかなか難しいこと。

あなたはそういう人なのね、私は違うけれども、という状態を良しとして楽しむこと。それぞれが自分のフィールドで好きなように生きて、ちょっとしんどそうだなとか、困っていることがあったら、お互いに手を差し伸べあえたらいいですね。




ー人とコミュニケーションするときに大事にされていることはありますか。

これも言ったら本当に怒られるし、反感買うと思うんですけども。基本的に出会う人全員が自分のファン予備軍だと思って接しているんです。生粋の自己愛、自己陶酔、ナルシストなのかわからないんですけれども(笑)。




ー最後に、ドリアンさんにとってジュエリーはどんな存在ですか。

防具であり武器であると思っています。ドラァグクイーンである以上、人様よりも過剰に飾り立てたいという気もありますし、特に社会とはマイノリティとしてまだまだ戦っていきたい。そんな時に素敵なジュエリーがあると、それだけで攻撃力・防御力が上がった気がするし、「これでもくらえ」って世間や自分に対しても堂々と対峙できる気がしますね。

着用アイテム
・Horn スライドネックレス
・Horn クラスプネックレス (43cm)
Horn クラスプネックレス (50cm)
スクリューチェーン ネックレス
・カーネリアンチャーム
Horn バングル (L)
Zodiac リング おとめ座
Zodiac リング やぎ座
Clarus リング
Clarus ブラウンダイヤモンド リング
・Uranus ブラックカルセドニー リング
・イヤーカフ
Horn イヤーカフ

 

 

-Profile-

ドリアン・ロロブリジーダ (Durian Lollobrigida)

1984年生まれ、東京都出身。 180cmのスレンダーなボディに20cmのハイヒールと巨大なヘッドドレスを装着し、圧倒的な存在感を放つドラァグクイーンで生粋のエンターテイナー。新宿二丁目発本格DIVAユニット「八方不美人」、好きな歌を好きな場所で“ただただ歌う”ユニット「ふたりのビッグショー」のメンバー。映画『エゴイスト』、『ストレンジ』にも出演。長い手足とよく回る舌、豊かな声量を活かして、各種イベントやMC、モデル業や映画、舞台、CM出演もこなすなど、マルチなクイーンとして活躍の場を広げている。

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