大澤 実音穂「直感に、素直に。ひとりでは生まれない何かを求めて」

大澤 実音穂「直感に、素直に。ひとりでは生まれない何かを求めて」

自分を愛するのは難しい。でも、自分自身の内なる価値に気づけていないだけだとしたら?ひとりひとりがスペシャルな存在。VERMILLIONのコンセプトである”IDENTIFY JEWELRY”を体現する、自分を表現して生きる人へのインタビュー。

様々なジャンルの音楽性を取り入れ、新感覚の音を奏でる3人組バンド『雨のパレード』。ドラマー・大澤実音穂さんはミュージシャンの活動だけではなく、モデルや俳優を始め多岐にわたって活躍。ファッションやライフスタイルから滲み出るセンスの良さでファッションアイコンとしても多くの人を惹きつけています。涼しげな横顔からは想像できないほど力強いドラムの音。容姿端麗な姿と熱量溢れる表現力を併せ持つ大澤さんが大事にしていることとは。大澤さんの話を通して、やりたいことの見つけ方や他者と共にいいものを作るために大事にすべきことを探ります。

ビビッとくる衝撃や直感を大切に。素直に進むと自分のやりたいことにつながっていく

―ドラムを始めたきっかけを教えてください。

両親がクラシックの声楽をやっていたので、幼少期から音楽が身近にある環境で育ちました。いつか自分も音楽をやるんだろうなと思いつつ、小さい頃に習っていたピアノは練習が嫌でやめてしまい。実は音楽があまり好きではなかったんです。ところが、小学校4年生の時に転機があって。学校でやっていた金管バンドの演奏会を母と見に行ったんです。そこで2歳上の女性の先輩がドラムを叩いているのを見てものすごく衝撃を受けました。20人くらいのバンドだったんですが、ドラムがどの楽器よりもかっこよく輝いて見えたんです。自分もドラムをやってみたいと思い、金管バンドに入ることに。トライアングルから始めて、6年生でやっとドラムを叩けるようになりました。中学は吹奏楽部がない学校だったので音楽からは離れますが、高校は音楽科に入学。クラシック音楽の勉強をしつつ、吹奏楽部で打楽器をやっていました。そしてやっぱりドラムがやりたいと思い、高校卒業後に本格的にドラムを始めることになります。18、19歳ごろです。

 
―10年以上ドラムを叩き続けてきて、その一番の魅力は何だと思いますか。

音楽への理解が深まってから思ったことなんですが、ドラムは音階はありませんが、音楽の核を作る楽器なんです。メロディーではなく土台を作る。それが自分の性格に合っていたと思うんです。

—バンド結成から10年の間、大変だったことはありますか。

クラシック音楽では、作曲家によって書かれた楽譜を演奏します。一方でバンドの曲を作るとなると、自分たちで一から考えるんです。自由度が急に広がったことに最初は戸惑いがありました。でも今は逆にそれが楽しいなと思っています。メンバーの意見を重ね合わせながら、自分たちで一から音楽を生み出せるのは本当に楽しいです。

—プライベートでは趣味でビーズのアクセサリー作りをされていますが、始めたきっかけを教えてください。

ある時ふらっと手芸屋さんに寄ったら、ずらりと並ぶビーズの数々に目を奪われてしまったんです。大きさも様々で、色の種類もたくさん。かわいくて興奮してしまい(笑)。大量のビーズを買い込み、その後YouTubeで調べて作り始めました。作ってみたい気持ちは前からありましたが、作ろうと意気込んで準備を始めたわけではなく、ビーズのかわいさに魅了されて気がついたら始めていましたね。やってみたら、集中して糸を小さな粒の穴に通していくという過程の作業もすごく好きでした。無心になれるんです。


—物を選ぶ時のご自身の軸はありますか。

見た瞬間に心がときめくかどうか。いろいろなことを素直に感じ取っていきたいと思っています。ビーズもそうですが、直感を大事にしているのかもしれません。その感覚に素直に進んだ方が結果として自分のやりたいことにつながると思っています。

—心が曇っていると、直感をうまく掴めないことがあるように思います。感覚を研ぎ澄ますために大事にされていることを教えてください。

すごく優柔不断なんです。迷いがあると何も決められない。でも優柔不断だからといって、自分で決めなかったら後悔するんです。そうならないよう、すべてのことに対して素直にいたいと思います。「あ、これ嫌なんだな、自分は」「これは良いと思っているんだな」とか、一つずつ自分の気持ちを受け取り、進めるように気をつけていますね。

—人生の岐路に立ったとき、どうやって大きな決断をしてきましたか。

何年か後に自分がどうなっていたいかを想像して、そのためにはどの選択がいいのかを考えて選ぶことが多いですね。鹿児島から上京する時もすごく迷いました。親も少し反対していて。行ってもいいけど大丈夫なのって。でもここで行かないとこの先に何にもなれないと思い、行くことを決めました。未来の自分を想像したからといって必ずその通りになるわけではありませんが、いい方に進むかもしれない道をちゃんと考えて、選んでいきたいと思いますね。

自分の意見がすべてではない。みんなでよりよいものにしていく過程が好き

—音楽以外にモデルや俳優としても活躍されていますが、分野を越えて仕事をし始めた背景を教えてください。

ミュージシャンならミュージシャンだけみたいな、これだけしかしないって考えでは元々なかったんです。鹿児島出身なんですが、田舎にいた頃には雑誌の中の世界だったものが、東京では目の前にあって実際に触れられる。知らなかった職業を知ってたくさんの人と出会って。何かお仕事をいただけるなら、もっと自分もいろいろなものに触れてチャレンジしてみたいという気持ちになりました。

—モデルのお仕事などで面白いと思うことを教えてください。

カメラマンさんや、ヘアメイクさん、スタイリストさんの絶妙な加減で、できあがるものがこんなにも変わるんだって毎回驚きます。共に作り上げる過程がとても楽しいなと思います。


誰かとものづくりをすることは自分の軸や芯があればあるほどぶつかったり大変なことがあるのではと思います。どう向き合っていますか。

自分だけの考えだとできることや生まれるものが限られていて。人と作るとできることは膨らむし選択肢も増えます。広がった中でトライアンドエラーを繰り返して、よりよくしていければいいと思っているんです。好きなものや曲げないこともあるけれど、時には飲み込むこと、譲ることも大事。人の意見や提案を受け入れ、いいものになった経験がたくさんあります。その積み重ねがあって、みんなで作り上げることが大事だと思うようになりました。

—バンドをずっと続けることができたのはなぜですか。

ライブでドラムを叩く瞬間は、他の何にも代えがたいんです。言葉にできない高揚感や空気感、気持ちが生まれて。それがあるから止められない。自分がドラムを叩いていて、見てくれるみなさんがいて、チームのみなさんがいて。みんなで時間を作ってる感覚がたまらなく好きなのかもしれないですね。ライブはその気持ちをそのままお届けできる。

—クールなイメージと裏腹に、内側に秘める熱さや挑戦心を感じます。

負けるもんかみたいな気持ちはあるかもしれません。高校時代の吹奏楽部は厳しくて。辞めちゃった方が楽だけど、ここまでやってきて辞めるのは勿体ないし、嫌だって。負けるもんかって気持ちが育ったのはその時かもしれません。楽器が好きだったし、仲間と一緒に音楽を続けたいとかそういう気持ちも大きかったんです。

自信がない自分とも丁寧に向き合って。自分がいいと思うものを選び、進んでいく

—ファッションやライフスタイルにおいて意識しているバランス感覚はありますか。

全部大きすぎないようにするとか、そういうことは意識しています。今日はジャケットがいいなと思って。ボルドーのセットアップと迷いましたが、ブルーのジャケットに。シルバーのアクセサリーと髪の赤色、ジャケットで色合いにコントラストをつけました。実は20代前半はほぼ黒色の服しか着ませんでした。髪色も真っ黒。前髪はぱっつんに切り揃えたロングヘアだったんです。20代は保守的で、自分のイメージを自分で固めてしまっていて。そこから逸れたらどうなるのか、不安みたいなものがあったんです。でも黒ばかりだとつまらないなと年齢を重ねるごとに思い始めて。30代になって今の髪の赤色などにも挑戦したいと思うようになりました。


—自分のイメージを壊すのはすごく勇気がいると思います。どんな心持ちで変えたのでしょうか。

自分自身が見てみたかったというのはあるかもしれません。やってみないとわからないですから。髪を赤にしてから、気持ちが変わったかもしれません。すごく明るい気持ち。挑戦しようっていう気持ちも強くなりました。

—自分らしく生きていくことについて大澤さんのお考えを教えていただけますか。

自分の思いや気持ちに素直に向き合うことなのかなと思います。私は基本的に常に自信がないんです。だからいつも自分との戦いです。お仕事をさせていただく時に、自信がないままだと相手に失礼だと思うので。自分で自分を受け入れて、自分の好きなところを一つでも見つけて、大丈夫と言い聞かせてチャレンジしています。

—最後に、大澤さんにとってジュエリーはどんな存在ですか。

あまり自信がない自分でも、好きなものを身につけていると、自信が湧いてくる気がします。鎧のような存在です。お気に入りのものもあって。ライブ中は指輪がつけられないので、ピアスやネックレスをつけてがんばるぞと気合いを入れています。




<着用アイテム>
Uranus アコヤパール  ネックレス ¥16,500
Uranus ラピスラズリ リング ¥16,500
アコヤパール リング ¥16,500
Zodiac リング Gemini<双子座> ¥14,300
Horn バングル(M)¥23,100
Zodiac シングルピアス Capricorn<山羊座> ¥11,000
Zodiac シングルピアス Virgo<乙女座> ¥11,000
 

-Profile-
大澤 実音穂 Osawa Mineho 
2013年に結成した新時代のポップスを提唱する3人編成バンド、雨のパレードのドラマー。モデルを務めるなど、ファッションアイコンとしても支持を得ている。2021年8月には、主題歌を担当した映画『僕たちは変わらない朝を迎える』で女優としてスクリーンデビューも果たした。
Twitter: @mine_dm Instagram: @______mineho
New Single 「paradigm」 配信中。
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