ヴァーミリオンは、「IDENTIFY JEWELRY(アイデンティファイジュエリー)」、自己表現を支え自分への存在証明となるジュエリーをコンセプトとしています。これは、古くからジュエリーが持ち主のタリスマン(=お守り)として、人々の体だけでなく心を彩ってきた歴史から着想したものです。
「TALISMAN DICTIONARY」では、タリスマンにまつわる歴史やメッセージをブランドディレクターの想いと共に綴っていきます。第二回目のテーマは「VERMILLION」について。VERMILLION(ヴァーミリオン)とは、英語で黄みを帯びた赤である“朱”を意味する言葉です。朱は、音読みでシュ、訓読みでアカと読みます。元来、赤という色は、人の体に流れる血の色であり、万物の恵みとなる太陽の色でもあります。生命の色ともいえる赤には、生命力に満ちたさまざまなメッセージが込められてきました。中世の人々は、ルビーやガーネットなどの赤い石には、“永遠の炎が閉じ込められている”、“石の中に閉じ込められた星が燃えている”と考えたそうです。また同じく赤い石であるカーネリアンは、”憂鬱を晴らす”と考えられました。
そして古くから神社仏閣には“朱”が、用いられてきました。神社仏閣に使われた“朱”の原料は辰砂(しんしゃ)という水銀を含んだ鉱物であり、毒性をもっていたことから、“毒を持って魔を払う”として、朱が塗料として選ばれました。この辰砂という石は、中世の西洋社会では「賢者の石」と呼ばれ、錬金術師たちが不老不死のために追い求めたという伝説もある非常にミステリアスな存在です。赤はどの時代においても人々の心を惹きつけ、その心を鮮やかに彩ってきたのだと感じさせられます。
赤という色の持つ圧倒的な存在感。それは、人間の生命そのものを感じさせる、まるで鼓動する心臓のようなエネルギッシュで前向きな心に共鳴するのではないでしょうか。命の色、情熱の色、自分自身を証明し、愛する色。
ブランドを作り始めた頃、私自身が「自分らしくありのまま生きる」ということに気後れし葛藤していました。そんな自分のように、迷いながらも自分らしく生きたいと願う誰かの背中をそっと押せる、魔法のような、或いは安心できるおまじないのようなジュエリーブランドを作りたいと思っていました。暗中模索で進む中、朱く燃えるヴァーミリオンという色に出会い、自分自身も勇気をもらい、ありのままの自分を表現することが誰かの勇気になると思い、そのメッセージをブランドに込めたいと思いました。
赤の持つメッセージのように、VERMILLIONというブランドがたくさんの方の心のきらめきに共鳴し、寄り添う存在になることを願っています。